長年にわたって三崎はおろか、全国のヨットマンを初めいろいろな人たちに愛された「知る人ぞ知る」三崎の名店が閉店を迎えます。本格台湾料理・来々軒。紹興酒を口に運びながら味わう美味い料理。もう味わえなくなるのが、とても残念でなりません。今までお世話になった気持ちを込めての「レクイエム」のつもりで書いてみました。

IMG_4356三崎下町からバス通りの坂をダラダラと上り、三崎東岡のバスターミナルを過ぎてすぐ。
ひっそりと佇む中華料理屋が「来々軒」
テーブルの一番端にラーメンを置くと、そのうち反対側まで滑っていってしまう、などの冗談が出るほどの古い建物だが、その歴史は三崎の飲食店の中でも最古の部類。
昭和20年代後半に、先代が今の「三崎港」バス停辺りで「夜泣きそば」の屋台を始めたのが最初。
当時は深夜はおろか明け方までマグロ船などの船員が飲み歩き、街のはずれには「赤線」と呼ばれる娼館があったほどの歓楽街だった。
その後、現在の「市役所入口」交差点の角で常設の屋台営業を始め、40年代に現在の店舗に移転した、というのが定説。
最近、聞いた話では、それ以前から北条湾辺りで屋台を引いていたというから、まさに老舗中の老舗である。
その店が今月、11月末で閉店する。
二代目の久保田龍彦さんは言う。「保健所検査が近いんだけど、今更この古い店にカネかけでもさぁ」
また来年1月には80歳を迎える久保田さん。「こないだ中学の同窓会に行ったらさぁ、現役で働いてるのはオレだけなんだよ。そろそろ卒業させてもらってもいいかな、と思ってね」
IMG_4560店は久保田さんと奥さんの二人で切り盛りする。
そのコンビネーションは絶妙。まさに熟練のコンビ、といったところ。
料理は三崎で唯一の「本格台湾料理」
味もさることながら、値段もリーズナブル。
油壺のマリーナに係留するヨットマンたちのオアシスでもある。
人は近所にある老舗を「いつもあるもの」と感じる。
しかし店には必ず終わりがくる。
それを聞いて「もっと行っておけば」と思っても遅い。
人は「いつもあるもの」には、意外と気が回らないものだ。
子どもの頃、深夜に先代が吹く「チャルメラ」の音を怖がっていた臆病者がもう50代半ば。
マージャンに凝って、いつしか「昼の出前はお断り」
夜になれば巨人戦の中継に夢中で、客の事はそっちのけ。
コマーシャルのタイミングを見計らってはツマミを注文。
Baidu-IME_2013-7-25_12-46-14青島麦酒から始まって、台湾紹興酒の独特な味と、八角の効いた料理の香りを鼻腔の奥で味わった。
そんな独特の世界ももうすぐ終わりを迎える。
酒飲みは行き慣れた「止まり木」がなくなるのは、とても寂しい。まるで住み慣れた我が家を引っ越すかのように・・・

写真は来々軒で味わった料理の数々。
興味のある方は11月末まで。
月、火曜日は休みです。

IMG_4353IMG_4349IMG_4348IMG_4355IMG_4354IMG_4357IMG_4561IMG_4663IMG_4674IMG_4678IMG_4351IMG_4352IMG_4350


三崎の街を飲み歩く時、やっぱり気になってしまうのが「美味い肴」
それも新鮮で絶品のものを食いながら一杯やりたい。
そんな左党兼食いしん坊が集まるのが「海舟」

8.海舟特に今、この店には鮪以上の、三崎ならではの食材「松輪サバ」がある。
松輪サバについて説明しよう。
松輪サバは東京湾の入口・松輪沖の、ある一か所の根に住みついたサバ。
この根がエサが豊富なことから丸々と太り、脂の乗りも抜群。
しかし獲れる数が少ないことから、漁獲量のほとんどが東京の高級料亭にいってしまう。
言ってみれば地元でありながらも「幻の魚」なのである。
一般的にサバという魚の旬は冬場、と思われがちだが、松輪サバの旬は夏の終わりから秋にかけて。ゴマサバの絶頂期は十月の中頃、そしてそのあとにマサバが絶頂期を迎える。
それ以外の時期の脂の乗りは良くないのだが、夏前の仕切値の安い時期に大量に買い付けて冷凍、それを冬場になって「今が旬、松輪サバ」と高値で出す悪徳な料理屋もあるので注意が必要だ。
まつわ2さて、松輪サバの食べ方なのだが、皮身をあぶった「炙り」、そして「焼き」、さらには身を昆布で〆ての「寿司」とバラエティーに富んでいる。
特に「炙り」は絶品である。
見事な脂の乗りの身がたまらない。
口に入れるととろけそうな味わいである。

 

 

まつわ3
そしてなんと言っても「〆サバ」
まだ、ほとんど生に近い絶妙な〆加減がたまらない。
こういうのをツマミに一杯やる時、三崎に住んでいてよかったな、としみじみと思う。

 

 

 

まつわ5そして「焼き」。
この丸々と太った身をご覧いただきたい。
サバの脂は、青魚特有のさっぱりした者なのでしつこくないのがうれしい。
まさに「日本酒の伴」である。

 

 

 

まつわ4

 

そして最後に「サバ寿司」をいただく。

若い頃、東京の寿司屋で修業した経験を持つ店主・草間一成氏らしい細やかな酢飯の加減。満腹であっても腹におさまってしまう美味さである。

 

 

11月になると、松輪サバの旬は最終盤を迎える。
草間氏によれば「ひょっとしたら中旬まであるかどうか」とのこと。
また「幻の魚」。いつでもあるとは限らない。
食べたい方は是非ともお電話を!

 海舟

住所:〒238-0243 神奈川県三浦市三崎3丁目12−15
TEL:046-881-0897

lacenta

 
三崎の街について書く前に、ひとつだけ説明しておかなければならないことがある。
それは三崎人の気質、である。
一言でいえば「お気楽」。
もっと具体的に言うならば「ラテン系」である。

大きな声で、ガラの悪い「三崎弁」を叫んでいる彼ら。実は非常にお気楽で、気のいい人間たちなのである。細かいことでは全く悩まない。

「難しいことなんか、気にしらっさんな。世の中はよ、なるようにしか、なんねぇだよ」

全てにおいて「ケ・セラ・セラ」なのである。


lacenta2 

そんな空気を感じてか、一人の男が三崎にやって来た。
朝倉久さん。通称ドン・パンチョ。通称とはいっても、れっきとしたメキシコ政府公認の称号である。そう、彼の話を書くときは「メヒコ」と表記しなければいけない。以前からメヒコと日本の交流に尽力してきた彼が、心底惚れ込んだ酒「メスカル」を引っ提げて三崎にやって来たのは二年前。
「この街の空気、そして人・・・全てが私の長年求めていたものだった。だからこの街で日本初、いや世界初のメスカル&テキーラの専門店をやりたい」こうして誕生したのが「ラ・クェンタ」である。

ぱんちょ3 

店について語る前に、簡単にメスカルとテキーラについて説明しよう。どちらも原料となるのは「リュウゼツラン」(マゲイ)これを蒸留して出来た酒である。しかし現代においてテキーラの大半は大手企業で大量生産されているのに対して。メスカルは「家内労務」。いわば「手作りの味」である。テキーラが生産性を重視するあまり、いろいろな「混ぜ物」されているのに対して、メスカルは純度100%。だから悪酔いしない。度数は43度以上あるが、ゆっくり飲めば翌朝もスッキリ。とても美味しい酒である。

ぱんちょ2

「ラ・クェンタ」で飲むときの作法を伝授しよう。まず入店前に店頭の自販機でチェイサーの水を買おう。そして分からないことは全て、パンチョに聞こう。この店ではツマミはないに等しい。前の写真に出ているメスカルブレッドなどが「お通し」でつくのみ。あとは何でも持ち込みOK!である。

どんなものとも相性のいいメスカル。是非、御自身の舌で確認していただきたい。希望者には港楽亭の「ワンプレート」(写真4枚目)などの出前も出来る。また時折、平日に開催される「ドン・パンチョのテキーラセミナー」に参加して、テキーラやメスカルの薀蓄話をしていれのも楽しい。通常、営業は金・土曜日の夕方から深夜のみ。週末、ラテンな三崎でメヒコ情緒を味わいたい方は是非、おいで下さい。


lacuenta

Cantina mezcaleria ”La Cuenta”
住所神奈川県三浦市三崎3丁目6-10
WEBhttp://www.mezcal-mezcal.com/