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梅雨があけるか、あけないか、そんな七月の中頃、三崎の祭りはある。

ずっとおさえていた血管をいっきに体中に放したかのように、

町中の通りを

獅子が、神輿が、そして熱い血が廻る。

 

それはみんなここからでて、ここにかえる。

二日目の夜、祭りは絶頂をむかえる。

境内にあふれんばかりの熱狂と歓喜と名残惜しさがいりまじっていた。

 

 

ふだんふらっと行く日は、神社らしくひっそりとしているのだが、

いく度その祭りの絶頂の光景がよみがえり、

その光景の中に自分をみつけ、ちょっとばかし得意げな気持ちになるのです。

 

 

 

 


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はじめまして、絵描きの八木亮太郎といいます。

三崎港のバス停の近くに「グランマ国際大学臨海実験所」というアトリエをもっています。

港や下町をあるいて見かけた、風景やものを描きとめて、紹介していきます。

よろしくお願いします。

一回目は、三崎銀座通り商店街の風景。

カフェ「MP」、中華料理屋「牡丹」、薬屋「佐藤薬局」

この3つのお店はぼくにとってスペシャルな存在です。

 

三年前、今の嫁とあてもなくふらっと行き着いた三崎。

ここで暮らしてみたいなと思った。

思ったものの、職なし、家なしで、不動産屋も「絵描きに貸す部屋はねえ」といわんばかりにまるであいてにしてくれなかった。

でも、ここのお店やお店にきていたお客さんたちに相談したら、みんな、僕たちを何とかこの町に住めるようにしようと、

なんやかんやと考えてくれた。

会ったばかりの僕らに、「牡丹」の常連さんがすぐに住める家を貸してくれた。

「佐藤薬局」の社長さんが仕事を紹介してくれた。

「MP」の常連のお医者さんがかもめ児童合唱団のCDをプレゼントしてくれた。

いつのまにかお店や近所のひとが集まっていて、「よかったねー、ほんとよかったねー、わーいわーい」みたいになっていた。

その夜は、とてもたのしかった。

 

産まれてはじめて目を開けて見た相手がこっちを見て笑っていたのがすごくうれしかった、みたいなかんじだった。

ちょっと大げさですけど、だいたいそんな感じです。

 

いまはそのときから家も仕事も変わっているのですが、

そのときのうれしかった気持ちは今もそのまま。ここを通るとときどき思い出すのです。