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2013年10/13(日)-14(祝・月)、県立城ヶ島公園で「STEP CAMP(ステップキャンプ)−城ヶ島 秋の外あそび&防災キャンプ!」が開催されました。2月に開催された第1回STEP CAMPと同じように多くの方が来場し、公園のなかで様々なアウトドアワークショップや外あそびを体験しました。
そしてこの日は、城ヶ島公園で初めて公式に集団でキャンプが行われた日となります。この記念すべき1日を実現したのが、STEP CAMP初の試みとなる1泊2日の「防災キャンプ」です。では、どのようなキャンプが行われたのでしょうか。アウトドアを通して防災に役立つノウハウ・スキルを提供するSTEP CAMPの活動を紹介します。

 

三浦半島にはキャンプ場がない!!

実は三浦半島にはキャンプ場がありません。
房総半島にキャンプ場はある。
伊豆半島にもキャンプ場はある。

しかし三浦半島にキャンプ場はないんです。

なぜ無いのか…。ずっと疑問に思っていました。適した土地がないというのならわかるんですが、三浦はアウトドアスポットに溢れています。海もある。川もある。自然も豊かです。なにしろ三浦の自然を求めてアウトドアの達人たちが遊びに来たりしています。

STEP CAMPは三浦の自然に惹かれたアウトドアの達人たちが集まり、ここを拠点に防災に役立つアウトドアスキルを教える活動を行っています。

今年の2月に開催された第1回目のイベント「城ケ島 外あそびのススメ」では、焚き火台やケリーケトルなどを使って火の取り扱い方をレクチャーしたり、ジップロックを使った簡単な米の炊き方を紹介しました。またスラックライン(綱渡り遊び)やフライングディスク、スポーツカイトなど、自然のなかで身体をめいっぱい使う遊びも提供。さらにアウトドアメーカーも参加し、グッズを販売したり、自社で販売するギアなどを使ってワークショップなども行いました。

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2月に行われた「外あそびのススメ」以降、STEP CAMPは他のアウトドアのイベントに参加するなど勢力的に活動してきました。そして10/13に開催された「城ヶ島 秋の外あそび&防災キャンプ!」で、また城ヶ島に戻ってきました。ただ、今回の秋のSTEP CAMPと春のイベントと大きな違いがあります。それは城ヶ島公園にテントで宿泊する1泊2日の「防災キャンプ」メニューが用意されたことです。

STEP CAMPでは衣・食・住それぞれのアウトドアスキルを提供することをテーマに掲げています。この3つを身を持って体験する上でも、自然のなかで一泊過ごすことが求められていました。ただ、キャンプ場がない三浦でこれを実現するには大きなハードルがあります。今回、城ヶ島公園でテント泊を含むキャンププログラムが実現できたことは、STEP CAMPが掲げる理想への大きな一歩なのです。

では、「防災キャンプ」の参加者はどのようなメニューを体験したのでしょうか。

防災キャンプワークショップ

①テント設営ワークショップ
13:00に城ヶ島公園に用意されたテントエリアに「防災キャンプ」参加者が集まりました。「防災キャンプ」の最初のプログラムはテントを設営することから始まります。今回はテントのレンタルも行われ、初めてテントを設営する人たちも多数いました。生まれて初めてアウトドアキャンプを体験するキッズたちは、今日宿泊する”家”がこれから建てられることに興奮しています。
テント設営ワークショップはsnow peakの横倉雅大さんが参加者の前で実際にテント設営を実演して行われました。
使用されたのは一般的な4人用のドームテントです。インナーテントを広げ、フレームをくみ上げ、フライシートを掛けるという手順を解説を交えながら設営します。横倉さんは手を動かしながら「風が強いときは先にペグ打ちをしておく」「折り畳まれた状態のフレームはインナーテントに通しながら1本に繋げていった方が効率的で安全である」といったワンポイントアドバイスを交えて実演。経験者も真剣な面持ちで聞いていました。また「テントの入口はどちらに向ける方がいいのか」と「日射を考えたときのテントの位置は?」といった質問も参加者からあり、日頃キャンプをしているときの疑問なども投げからけれました。
ワークショップ終了後は参加者各自がテントを設営し、城ヶ島公園設立以来、初めて様々なテントが張り巡らされました。

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snow peakの横倉さんは11/30ミサキシエスタサヴォリクラブでトークイベント「みやげ話の会vol.13 アメリカ一人旅 山と海と街」でヨセミテのジョン・ミューア・トレイル(John Muir Trail)を歩いたトレッキングトリップの話をされます。

②アウトドア料理教室
テント泊参加者はテント設営後、休憩を挟んで、STEP CAMP副代表でもあるアウトドアコーディネイター小雀陣二さんによるアウトドア料理教室に参加しました。
小雀さんはバーベキューグリルによる炭火をつかった料理を披露。調理が簡単な食材を使用したり、使用する調味料を工夫することで時間が掛かりがちなアウトドア料理を効率的に行う方法などを紹介しました。
約1時間で作られた料理はなんと5品。それも「ブロッコリーと赤パプリカのサラダ」「豚ヒレ肉のグリルオニオンソース」「エビと秋野菜のグリルバジルソース」「焼き鮭のエスニックソース」「焼きリンゴのヨーグルトがけ」といったどれも手が混んでいるような料理の数々です。
グリルの火の上で焼かれるヒレ肉やシャケの美味しそうなビジュアルを見て参加者はヨダレをごくり、キッズたちからは「はやく食べたい!」の声が…。
小雀さんは食材による炭火の使い分けや、調理法をレクチャーしながら、短時間で効率よくバーベキュー料理を作る方法を教えてくれました。
もちろん、出来上がった料理はみんなで試食。夕食前だったこともあり、あっと言う間に料理はなくなりました!

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小雀さんがこの日披露したバーベキュー料理はアウトドアフリーマガジン『フィールドライフ』秋号で紹介されています。

③実践型衣料術
料理教室の後は、アウトドアブランド・アクシーズクインの新井知哉さんによる実践型衣料術のワークショップが行われました。新井さんは登山などの防寒法から、もし服が濡れてしまった場合の対処法などを紹介しました。
自然のなかで寒さから身を守るときは、体温保持が出来る衣服の着方をしなくてはいけません。
まず、一番外側にまとうウェアですが、ゴアテックなどのアウトドアでよく使用されているハイテク素材のアウターがあればベストです。しかし、そうした服がなくても編み目が濃いナイロン素材などで対応できます。これは薄手のものでも構わないそうです。風を通しにくい素材かどうかを判別するには口をあてて息を吐くことで、空気が通りやすいかどうか確認することができます。
こうしたアウターは家で言うところの窓の役割を持っています。つまり風など外気を遮断し、熱を逃がさない役割です。そして家のなかを温めるのは人間自身となります。人は食べることによって熱を生み出すので、防寒対策としても何かを食べるほうがベターです。そしてフリースやセーターなど厚手の服を着ることによって、身体を温め維持することが出来ます。
こうしたテクニックは環境が厳しい登山時や悪天候時に使用されるものですが、防災の観点で考えても役立つものであり、参加者の関心を集めていました。

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④バーベキュー料理
そしてワークショップが行われた後は、待ちに待った晩ご飯です。料理教室でも使用されたアウトドアグリルを使用し、参加者それぞれが炭に火を点けてバーベキューを楽しみました。このバーベキューでも参加者は火の使い方を学ぶことができます。どのように炭をおけば火が付きやすいのか、どのようにして空気を送れば火が燃え上がるのかを体験することができます。子供たちも大人と一緒になって火起こしをして、自分で調理した肉や野菜を食べました。それは楽しいひと時であると同時にかけがえの無い体験になったはずです。子供たちも食後のあとも焚火に夢中になっていました。

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そして食事の後は参加者それぞれが思い思いに自然を満喫し、一夜を過ごしました。城ヶ島はその名の通り海に囲まれた島です。城ヶ島公園は高台にあるため、島の四方を見渡すことができます。太陽が沈む姿も、太陽が登る姿もそこから見ることができます。天候さえよければ満点の星空を眺めることができます。それだけじゃありません。静まり返った夜中に響く風の音や獣や鳥の鳴き声、朝どきの空気、日の出とともに肌で感じる暖かな光。自然のなかで一夜を過ごすことで多くの経験を得ることができます。

⑤燃料をさがして、お湯をわかしてお茶を飲もう
翌朝は最後のワークショップ「自分で燃料をさがして、お湯をわかしてお茶を飲もう」が行われました。公園内で枯れ枝や落ち葉などを集めて、ケリーケトルでお湯を沸かし、お茶を飲みます。火の使い方もSTEP CAMPの大きなテーマの1つです。普段、生活していると調理器具や給湯器などを使っていても、なかなか火を使うことを意識しません。直接自分の手で火を使うことで、どのようなものが燃えるのか、どうすれば炎が大きくなるのかなど実践的に学ぶことができます。
また今回CSR活動の一環として参加した伊藤園さんからこのワークショップ用のお茶、そして1泊2日のキャンプに必要な飲料水が提供されました。また伊藤園からは災害時における水の話、飲料水の提供などについても紹介されました。

この「防災キャンプ」を通して子供たちは全身で遊び、学んでいたようでした。そして大人の参加者は楽しみながら学ぶと同時に、もし災害があったときどのように対処すればよいかを考える機会になったようでした。
どうしても防災という言葉には固いイメージがあります。もちろん災害時にどのように対処するかということは真面目なテーマです。
でも、そのいざという時に役立つ知恵は、知識だけで身に付くものではないかもしれません。自然のなかでたくさんの経験をすることでその知恵は培われる。STEP CAMPは、何かあったときの知恵を培うことを提案しているのだと思います。

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STEP CAMPが提示した可能性

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キャンプ参加者に「防災キャンプ」の主旨を説明するSTEP CAMP代表・寒川さん(写真左)。

STEP CAMPの代表である寒川さんは「この城ヶ島で公的にキャンプをするということは念願だった」と語ります。寒川さんは三浦半島でさまざまなアウトドアツアーを企画してきました。この半島のアウトドア的魅力を知り尽くしていながら、キャンプをすることはできないということは大きなジレンマだったのかもしれません。だから今回、、城ヶ島公園で「防災キャンプ」を実現できたことはSTEP CAMPにとっても大きな一歩でした。そして、これはこの街にとっても新たな可能性を提示することになったのではないでしょうか。

ミサキファンクラブのアンケートでも、ミサキの魅力の大きな要素として「自然」という言葉が出てきました。そして「ミサキにあればいいなと思うもの」のなかに「キャンプ場」という意見が複数寄せられました。
ミシュラン・グリーン・ガイドに城ヶ島と三浦半島が選ばれたり、海外からもこの土地は魅力的に見えています。そうした状況のなかで自然を活かしながらどのような町づくりをしていくのかということは大きな課題です。自然とともに歩む町として、STEP CAMPの「防災キャンプ」のようなイベントは1つの方向性になるのではないでしょうか。
ミサキファンクラブでは、これからもアウトドアの街という視点で三浦市・三崎について考えていきたいと思います。

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今回のSTEP CAMPでも火の取り扱いを学ぶケリーケトルワークショップ、ランタン作り、ジップロックを使ったご飯炊き、ペレットストーブ実演、コーヒーの淹れ方ワークショップ、バナーを使った表札作りなど様々なワークショップが行われました。

STEP CAMPオフィシャルサイト http://stepcamp.jp